昔から日光浴が乾癬の改善やアトピー性皮膚炎のかゆみの軽減に効果があることが知られていました。これは、紫外線に免疫反応を抑える作用があるためです。その後の研究により、UVB(280~320nm)という中波長紫外線の方がさらに効果的であることが判明しました。UVBのうち、308~313nmの波長が特に有効であるとわかり、これ以外の波長の光が出ないように工夫した照射装置が開発されました。この装置が「ナローバンドUVB(NB-UVB)」と呼ばれ、311nmを中心とした波長の照射が行われました。さらに、エキシマライトという308nmの光線発生装置(局所用)も開発され、現在は両者をうまく使い分けることで、効率的な治療が可能になっています。
対象となる疾患と費用
アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、尋常性乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、類乾癬などです。外用薬と併用することで効果が高まります。3割負担の方で、再診料とは別に約1000円/回かかります。
当クリニックで使用している機器
当クリニックでは、JMECのJTRAC(ジェイトラック)とFlexSys Fit LED(ターゲット型エキシマライト)という2つの紫外線治療機器を導入しています。
JTRAC(ジェイトラック)
JTRAC(ジェイトラック)は、あらゆる体勢やあてにくい部位にも効率良く照射することができる半身型のナローバンドUVBです。照射範囲が広い方は短時間で全身にあてることができます。
FlexSys Fit LED(ターゲット型エキシマライト)
FlexSys Fit LEDは病変部のみに限局照射できる主波長308nmを有するターゲット型紫外線治療器です。顔や頭部、指間部など狭い部位にも効率よく照射できます。
治療の流れ
STEP
診察
まずは皮膚の症状や肌の状態を診察し、紫外線療法が適しているかを判断します。
STEP
初回照射
初回は弱めの設定で照射し、肌の状態を観察します。
STEP
照射
初回の照射で問題なければ徐々にエネルギーを上げて治療していきます。
治療の回数と効果
週に1~2回程度の治療を受けていただくと効果的です。治療間隔があいてしまうと、効果が得られにくくなります。効果の現れ方や治療の回数には個人差がありますので必ず医師と相談の上治療することをお勧めします。また、症状が落ち着いてきたら回数を減らすこともできます。乾癬やアトピー性皮膚炎の痒疹型にもよい適応となっており、かゆみや皮膚症状の軽減に効果を発揮します。また副作用が心配となる塗り薬の使用量も減らすことができます。
紫外線療法のQ&A
- 痛みや赤みがありますか?
- 治療中の痛みはほとんどありません。治療後に軽い赤みが出る場合がありますが数日でおさまります。ただし、反応が強くあらわれた場合、ほてりを感じたり赤みが長引いたりすることがあります。
- 副作用はありますか?
- 安全性の高い治療法ですが、体質により過敏な皮膚反応を起こすことがあります。また、長時間の照射で日焼けのような色素沈着がおこることがあります。照射後に皮膚が赤く腫れる・水疱・症状が悪化した場合は、速やかに医師にご相談ください。
- 治療時間はどれくらいですか?
- 治療する部位の大きさにもよりますが、10~15分くらいです。
- 紫外線療法が受けられない方はいますか?
- 日光や紫外線に過敏症の方、皮膚悪性腫瘍の既往のある方、日光角化症、免疫抑制剤を使用されている方は残念ながら治療ができません。
- 小さな子どもでも受けられますか?
- 痛みのない治療ですのでお子さまでも受けられます。
ご不明な点があれば、いつでもご相談ください。患者さん一人ひとりに合った治療をご提案いたします。