当クリニックは、赤ちゃんからご高齢の方まで幅広く、日頃よくみかける皮膚トラブル全般を保険診療にて行います。皮膚トラブルは目に見えるため不安を感じやすいかと思います。すぐに治る疾患もあれば、慢性化したり悪化したりすることがあるため自己判断せず、お早めに当クリニックまでご相談ください。

アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が慢性的によくなったり悪くなったり繰り返す病気であり、多くの患者さんがアトピー素因を持っているとされています。
アトピー素因とは、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎などのアレルギーによる病気を持っていたり、IgEというアレルゲンに対する抗体を体が作りやすい体質のことです。アトピー性皮膚炎を発症する原因は様々ですが、皮膚のバリア機能が弱まっているなどの体質的な要因と、アレルギー物質などの影響による環境的な要因、遺伝的な要因などが重なって起きると考えられています。症状は額、目の周り、首、手足の関節部などに左右対称にかゆみを伴う湿疹がみられます。成人では6ヶ月以上同じ症状繰り返すとアトピー性皮膚炎と診断します。

保湿をベースにステロイド外用薬など塗り薬で炎症を抑えます。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を併用することもあります。アトピー性皮膚炎の基本的な治療になりますが、皮疹の状態によってステロイドのランクを決め、改善したらステロイドのランクを下げたり、塗る回数を減らしたりします。体の部位によってステロイドのランクを使い分けます。最近はステロイドではない外用治療薬が数個でていますので併用しながらプロアクティブ療法を行います。プロアクティブ療法とは、炎症が落ち着いても薬を中止せず、塗る量を減らしながら続けることでしっかりと炎症を抑えて再燃を減らす治療法です。当クリニックでもスキンケアと合わせてしっかりとご指導しております。

アトピー性皮膚炎は、掻くことで症状を悪化させるため、かゆくない状態をつくることが大事です。汗をこまめに拭き、入浴など皮膚を清潔に保ち、入浴後すぐに保湿をしましょう。また、一見症状が治ったように見えても、薬を自己判断で中止せず、再発を繰り返さないために外用薬を継続して使い続けることが大事です。日々の生活習慣に気をつけ、定期的な通院をすることで上手に付き合っていきましょう。

炊事や洗濯など水仕事が多い主婦や美容師に多い皮膚トラブルです。原因は洗剤やアルコールによる手指消毒などさまざまな摩擦、刺激により皮脂や角質が落ちて、皮膚のバリア機能が低下しておこります。見た目は皮膚が赤く、かゆくなる、カサカサしひび割れがみられることが多いです。また掻きこわして傷が深くなると細菌感染を引き起こすことがあります。もともと皮膚のバリア機能が弱っている乾燥肌やアトピー性皮膚炎の人に起こりやすいとされています。

保湿をこまめに行います。かゆみや炎症を抑えるためにステロイド外用薬も使います。
原因となるものを除去すれば改善しますが、家事や仕事はやめることができず、再発を繰り返します。上手に付き合っていくことが大切ですので一人で悩まず、早めに受診してください。一人一人のライフスタイルに合わせて治療や対策をご提供いたします。

いわゆる乾燥肌です。皮脂や汗の分泌が減少し、皮膚の潤いが低下した状態です。誰にでもおこりうることで特に冬など乾燥しやすい時期になりやすく、カサカサする、白い粉がふく、かゆみやひび割れがあるなどの症状がでます。

保湿がメインです。かゆみや赤みがある場合にはステロイド外用剤を使用します。
入浴時は熱いお湯や長時間の入浴は避け、強く擦らないでください。入浴後はすぐに保湿してください。

頭部や顔面、腋窩など皮脂の分泌が盛んな部位や間擦部にふけやカサカサした赤みがみられる慢性炎症です。原因は皮膚の常在菌であるマラセチアにより皮脂が遊離脂肪酸に分解され、それが皮膚を刺激し、炎症を引き起こすと考えられています。かゆみは軽度もしくはほとんどありません。乳児期と思春期以降の成人がよく発症しますが、成人型は乳児型と比べて慢性かつ再発しやすいです。

主にステロイド外用薬やマラセチアに効く抗真菌外用剤を使用します。漢方薬ビタミンB2,B6も効果があります。皮膚の常在菌であるため完治が難しく、再発を防ぐためには清潔を保つことや生活習慣の改善が大切です。

いわゆるかぶれです。化粧品や湿布、薬剤などにより接触した部位に赤みやかゆみ、水ぶくれが生じます。

ステロイド外用剤を使用します。接触した原因物質を避けることが最も大切です。原因を探すためにパッチテストも有用です。

かゆみが強く、丸い形をしたわずかに盛り上がった「ミミズ腫れ（膨疹）」が数分〜数時間で消えていく病気です。体のどこにでも生じます。跡が残らずきれいに消えるのも特徴です。原因として食べ物や薬、感染症などがありますが、原因がわからないことが大部分です。

抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服を行います。原因がわかるものは、その因子を除去または回避します。通常は数週間ほどで治りますが、慢性化した場合は数年内服が必要なこともあり、薬の増量や追加を行います。

蚊、ダニ、ノミ、アブ、ハチ、毛虫などに刺され、かゆみや痛みを伴う赤い発疹がみられます。薬を塗れば治るものから、すぐに毒抜きなどの処置が必要なものまであります。特に注意が必要なのがハチに刺された後です。ハチに刺されたあとにアナフィラキシーショック（血圧低下、意識消失）が起こることもあります。
治療はステロイド外用薬です。炎症が強い場合は抗アレルギー薬やステロイド内服薬を使うことがあります。

水ぼうそうのウィルスと同じ水痘・帯状疱疹ウィルスの感染によって起こる病気です。子どもの頃に水ぼうそうにかかった後、ウィルスは神経節に潜んでいて元気なときは症状はでません。加齢やストレス、抗がん剤などで免疫が低下しているときに帯状疱疹として発症します。体のどこにでも発症しますが、片側に赤みと小さな水ぶくれが帯状に集まってでき、針で刺すようなピリピリした痛みが特徴です。

診断したらすぐに抗ウイルス薬を内服します。痛みがとても強いため鎮痛剤も併用します。皮疹は数週間で治りますが、痛みは数ヶ月〜数年続くことがあります。後遺症をできるだけ減らすためには早期治療が大切です。また、帯状疱疹ワクチンを接種することで予防もできます。50歳以上の方対象です。完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽く済むことができます。

鶏眼（けいがん）は、大人の足の裏などにできる径5㎜ほどの硬いできもので歩く時に痛みを伴います。中心に芯がみえるので俗にうおのめと呼ばれます。原因は、足の皮膚の一点に圧迫や摩擦といった刺激が長期間加わり続け、皮膚の角質が厚く芯のようになり芯が神経を圧迫して痛みが生じます。治療は、食い込んだ芯をメスやニッパーなどでしっかり除去します。場合によってはスピール膏で角質を柔らかくした後に処置をします。

胼胝(べんち)も同様に皮膚の一部が慢性的に刺激を受けて厚くなります。鶏眼と異なり芯はなく、刺激を受けた部位全体が少し厚く盛り上がります。痛みがないことが多いです。治療は、硬くなった角質を保湿で柔らかくしたり、適宜削ったりします。

日常生活でよく遭遇するやけどやケガですが、「消毒して乾かす」という治療は間違いです。
今は、消毒はせず、しっかり洗い流す、そして乾燥させない（湿潤環境）が大切です。
やけどの場合も水疱は破らずに放置したほうが早く治癒します。できた傷を治すのは難しいですが、できるだけ傷を目立たなくすることは可能ですのでやけどや傷を放置せずに早めに受診してください。
やけどの場合は、受診するまでに流水でしっかり洗い、保冷剤などで冷やしてください。

単純ヘルペスウイルスの感染によって起こり、顔にできる1型と外陰部や臀部にできる2型の2種類があります。一旦感染してしまうと、神経節にウイルスが潜伏していますので疲労や体調の悪い時に免疫が落ちて再発を繰り返します。赤みや水ぶくれができる前に「ピリピリ」「ちくちく」した痛みが前兆としてみられます。何度も経験している方は皮膚に症状がでる前に「ヘルペスだ」とわかるようになります。

抗ウイルス薬の内服もしくは外用を使用します。頻繁に症状が出る場合は、毎日内服やPIT（Patient Initiated Therapy）という治療法があります。早めに治るように十分な睡眠と栄養をとるようにしてください。また患部は清潔を保つようにし、同居人への感染のリスクを避けるために同じ食器やタオルを使わないようにしてください。

ガラスや木のトゲが入り、そのままにしてしまうと傷がふさがった後に痛みや異物感があります。早めに取り除けば感染のリスクも下がりますし、痛みや不快感がなくなりますので早めに受診してください。
自分では見えない小さな異物に対してはダーモスコピーで確認し、消毒後異物鑷子などで取り除きます。

白癬菌という真菌（カビ）が感染して起こる病気です。皮膚科では非常によくみる疾患です。
足指、足裏だけでなく、爪にも感染します。足の水虫は、皮膚の皮がむけたり、指の間がジュクジュクしてかゆみを伴ったりします。爪の水虫は、白く濁っている、爪が分厚く変形したり脆くなったりします。診断には、皮膚を軽くこすって、検体を採取し、顕微鏡でカビがいないかを確認します。カビが見つかればすぐに治療を開始します。自己判断で市販の薬を塗った場合はカビの確認がしづらくなりますので、何も塗らずに受診してください。

抗真菌薬の外用薬や内服薬を使用しますが、気長に付き合っていく必要があります。よくなったと思って治療をやめてしまうと再発しやすいので症状がなくても最低3ヶ月間は塗りましょう。患部だけではなく、足の裏全体を塗るのもポイントです。爪の水虫に関しては外用剤では効きにくいことがありますので内服薬で治療します。その場合も3ヶ月〜1年くらいはかかります。
感染しないために1日1回は足を清潔に洗い、しっかり乾燥させましょう。特に汗をかきやすい人、蒸れやすい靴を履いている人は感染しやすいため、こまめに汗を拭き取る、時々靴と靴下を脱ぐ、靴乾燥機を使って靴の中を乾燥させるなどの対策をしてください。

いぼは、手指や足の裏の小さな傷にヒトパピローマウイルスが感染してできる丸いできものです。見た目は数㎜〜数cm大のドーム状に盛り上がった小型のもので、かゆみや痛みはありません。うおのめによく似ていますが、よくみると表面がざらざらした黒い点（点状出血）があり、削ると血がでるのが特徴です。

一般的によく行われる治療は液体窒素で凍らせる凍結療法です。痛みを伴うのが難点で、特にお子さまにはトラウマになる子もいます。また、1回の治療では完治できず、1〜2週間に1度の処置で数ヶ月かかるため根気よく治療が必要です。そのほかにヨクイニン（ハトムギの種皮を剥がした天然の成熟種子）という漢方薬の内服により免疫力を上げて治す方法などがあります。

誰もが一度はにきびで困ったことがあるのではないでしょうか。
皮脂の過剰な分泌と毛穴の詰まりによるもので、ホルモンやストレスなどの影響により、過剰に分泌された皮脂が毛穴に溜まると、面皰（めんぽう）という状態になります。この溜まった皮脂を栄養源にして、毛穴の常在であるアクネ菌が増殖することで症状を悪化させます。小児期から青年期にかけてよくみられますが、大人になってから睡眠不足や紫外線、ストレス、生活環境の変化などで悪化する場合もあります。ニキビの種類に白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビなどがあります。

にきびの種類や重症度に応じて、レチノイドや過酸化ベンゾイルなどの外用剤、抗生物質の外用剤や内服薬、漢方、ビタミン剤などを処方します。ニキビは慢性的におこる毛穴の炎症で再発もしやすいので長期的な治療継続が大切です。
思春期特有の症状と思われがちですが、成人になっても不規則な生活などが続くと症状が出やすくなります。規則正しい生活や十分な睡眠をとるようにしてください。化粧品も原因の一つなので毛穴を塞がない化粧品を使うのもいいです。
ほとんどのニキビは保険適応で十分治療することが可能です。重症化する前に早めに受診してください。

30代頃から出始め、加齢とともに増える皮膚の良性腫瘍です。
顔などに多く見られ、少し盛り上がった茶色～黒色の表面がザラザラしたできものです。大きさは数mmから2～3cmくらい、形状はわずかに盛り上がるものから突出したしこりになるものまで様々です。シミと混じって存在することが多く、最初シミだったものが盛り上がって脂漏性角化症となることもあります。 特徴的な見た目からほとんど診断はできますが、診断が不確かな場合は、ダーモスコピーで検査を行います。治療は、液体窒素で凍らせる凍結療法を行います。1回で取れることもありますが、大きいものは数回当てる必要があります。

約1～2mmの白くてかたいブツブツが、目の周りによくできます。自然にとれることは少なく、気になる場合は、表面に注射針で小さな穴をあけ、内容物を押し出します。
赤ちゃんの目の周りにもできることがありますが、赤ちゃんの場合は、ほとんど自然と取れますので心配いりません。

皮膚の下に袋状の構造物（嚢腫）ができ、その袋の中に垢（角質）と皮膚の脂（皮脂）がたまってできる良性腫瘍です。たまった角質や皮脂は袋の外には出られず、どんどんたまっていきますので、時間とともに少しずつ大きくなっていきます。体のどこにでもできますが、顔、首、背中、耳のうしろなどにできやすい傾向があります。
感染を起こすと赤く腫れ上がり、痛みを伴います。軽い炎症なら抗生物質を内服すれば炎症はおさまります。しかし、ひどく化膿して膿がたまった状態の場合、抗生物質を内服しただけでは効果がなく、表面を少し切開して膿を出します。

首や脇など摩擦されるところに小さな皮膚の突起が多数出てくるものです。原因は摩擦や日光照射などによる皮膚老化によるものとされています。30代ころから発症しはじめ、通常は加齢とともに増えていきます。見た目が気になる場合は、小さなものであれば皮膚用のハサミで切ります。やや大きなものであれば、液体窒素やメスを用いて治療します。

文字通り突然頭に丸い脱毛斑が生じる疾患です。脱毛斑一つだけでなく、多発することもあります。また頭全体に広がるものや眉毛や体毛に及ぶものまで症状は様々です。脱毛斑周囲の髪の毛を軽く引っ張るだけで簡単に抜けるのが特徴です。
ストレスが原因と言われがちですが、実際には明らかな根拠はありません。現在は、自己リンパ球が自分の毛根を攻撃する自己免疫疾患や、遺伝的要素が考えられています。

重症度によって治療法は違いますが、軽症の場合はステロイド外用剤やグリチルリチンなどの内服療法、脱毛部に液体窒素や光線療法など行います。
急激に脱毛が広範囲に広がる場合は、難治のことが多いです。
また、血液検査で甲状腺疾患や膠原病などの自己免疫疾患が発見されることもあるため、検査を行う場合もあります。早めに治療を開始することが大切なので、症状が現れた場合は、一人で悩まず、お早めに受診してください。

俗にいう「白なまず」です。20代前後の人に多いですが、小児や中年の方にもみられることがあります。見た目は境界がはっきりしていて白く皮膚が抜けている（脱色素斑）白斑が体のどこにでもできます。自覚症状がなく、白斑が徐々に広がるのが特徴です。
原因ははっきりわかっていませんが、自分の色素を攻撃する自己免疫などが考えられています。慢性甲状腺炎や糖尿病などを合併することがあるため血液検査を行うこともあります。

治療は長期戦になることが多いです。主にステロイド外用やプロトピック外用、光線療法などを行います。顔や手背などにある場合は、カバーメイクなどを用いて白斑を隠すことで患者さんの精神的ストレスを減らす方法もあります。

中高年の顔や鼻によくみられる赤みが数ヶ月以上続く慢性炎症性疾患です。ニキビのようなぶつぶつや膿が混じることもあります。原因はまだよくわかっていません。紫外線、外気温の急激な変化、刺激のある食べ物やアルコールの摂取などが増悪因子として知られています。

酒さは長く上手に付き合っていく治療になります。抗生剤の内服薬や漢方、ロゼックスゲル、レーザー治療などうまく組み合わせます。 日頃刺激の強い食べ物や過度の日光暴露、ストレスを避けましょう。また刺激の少ない基礎化粧品やメイク用品を選ぶこともお勧めします。

手や脇の汗で困ったことはありませんか。過剰な発汗により日常生活に支障をきたす病気を多汗症といいます。局所多汗症の中には悪性腫瘍、甲状腺機能亢進症、内分泌疾患、神経疾患など原因がみつかることと原因がわからないものがあります。
最近、腋窩の多汗症にエクロックゲルとラピフォートワイプ、手掌の多汗症にアポハイドローションが保険適応になりました。汗で悩んでいる場合はご相談ください。